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電通、デジタル広告の中長期の効果を評価する新指標「ナーチャリングスコア」を開発

2023.7.3

電通は、これまで短期的な効果測定が主であったデジタル広告の“中長期効果”をリアルタイムで評価することができる新指標「ナーチャリングスコア(商標出願中)」を開発し提供を開始します。電通が構築した予測モデルによって、デジタル広告の事業成果に対する貢献度を、短期的な効果にとどまらず中長期で評価し、デジタル広告予算を中心としたコミュニケーションを最適化することが可能になります。

 現在のデジタルマーケティングでは、広告がクリックされた後7日間程度のCV(Conversion:サイト来訪者数、申し込み数など)をCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)で評価する手法が一般的です。一方で、検討期間の長い商材や、ブランディング、エンゲージメントの強化を目的としたマーケティング活動においては、未来の顧客を中長期で開拓・育成していく「ナーチャリング」が重視されつつあり、デジタル広告の効果を中長期で評価する指標が必要となっています。当社の調査では、広告接触後7日以内の短期的な申し込みに対して、広告接触後6カ月以内の中長期的な申し込みは平均12倍の件数が存在する事例も確認できており、半年後までの効果を加味して広告評価ができれば、より精緻で、企業の目的に合致したデジタル広告の最適化が可能になります。

 そこで電通では、データクリーンルームの大規模な顧客基盤に基づく、広告接触履歴や興味関心の属性などから、申し込みや購入に至る確率を推定する予測モデルを機械学習によって構築しました。このモデルによって計算された新規ユーザーの申し込み確率が新指標「ナーチャリングスコア」であり、広告の中長期効果を示します。 2016年からデータクリーンルームを利用し蓄積してきた知見をベースに、2022年より本スコアの研究開発を開始し、このたび、複数のデータクリーンルームで実用レベルのモデルの作成に成功しました。

 予測モデルは過去のデータに基づいて計算されたものですが、これを現在のデータに適用することで、これまでは測定しづらかった将来の申し込み確率を現時点で推測できるようになります。例えば過去半年間のデータに基づいて学習されたモデルを作成し、今日広告を配信したユーザーのスコアをモデルに基づいて計算することで、向こう半年の申し込み確率をリアルタイムに評価し、広告の予算配分や入札調整といった日々の運用の意思決定に活用することが可能です。

ナーチャリング

<「ナーチャリングスコア」の算出方法>
 実証実験では、交差検証の結果、予測モデルが70%以上の高い精度を示しています。また、金融系業種での検証では、サイト来訪済のユーザーに対するリターゲティング施策に比べて、潜在層向けの動画施策の方が中長期効果(ナーチャリングスコア)で見ると効率が良い、という評価の逆転現象も起きており、これは、中長期的な事業成長のためには、動画広告に適切に予算を配分することが重要であるという示唆でもあると考えられます。

 「ナーチャリングスコア」は、当社が提供するさまざまなデータクリーンルーム活用ソリューション(TOBIRAS Insight / TOBIRAS Activation / TOBIRAS Measurement / TOBIRAS Optimization)のうち、測定・評価に関するカテゴリー「TOBIRAS Measurement」のプロダクトの一つで、システム基盤「TOBIRAS」と連携することでスピーディな運用を実現します。


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