中日新聞社、地域情報発信プラットフォームを創生
中日新聞社は、東海地方の自治体、企業と連携し、住民に身近な地域情報を届けるデジタルプラットフォーム運営に乗り出します。住民向けデジタル情報発信ツールは、一部の自治体や企業が個別にサービスを打ち出し、部分的に普及が進んでいますが、複数県にまたがり、業種の枠を超え、広域的な枠組みで連携運用する試みは全国で初めてのケースとなります。2024年4月から数十の自治体の住民向けに試行運用を始め、10月以降は自治体数を増やして本格運用を進める方針です。
住民向けの情報伝達手法には、スマートフォンアプリを採用します。導入を決めた自治体では、住民がアプリをダウンロードすれば、必要な生活情報をはじめ、イベントや娯楽、企業のお得情報などを得ることができます。導入が決まっていない自治体の住民も、居住地の自治体が参画すればサービスを利用することができるようになります。
アプリに届く情報は、県や市町村が発信する、災害などの緊急情報、手続き情報、その他住民向け生活情報をはじめ、新聞社などメディアの取材に基づく情報、流通・飲食・インフラなど各分野の企業が発信する情報など、さまざまコンテンツになります。
情報は参画自治体、企業がそれぞれで入力し、システム上でコンテンツを集約。居住地、性別、年代、関心ジャンルごとに仕分けし、ユーザー一人一人の属性、趣味嗜好に合わせてパーソナライズして届けます。居住地以外の近隣自治体など、他の自治体の情報も得ることができます。ユーザーは、兆単位にも及ぶ組み合わせから、自分の好みに合った設定で情報を得ることになります。
発信主体となる自治体は、24年4月からの参画が東海三県の数十自治体になる見通しです。その他の自治体でも準備が整い次第、順次参画を受け付けます。企業の4月からの参画は数十社を見込んでいます。
初期は地方自治体や企業の参画拡大を目指しますが、観光や商工業といった各種の地方団体など、その他の発信主体が加わり、より地域密着の情報をユーザーに提供できるよう、体制を整えていきます。
SNSの普及などで、デジタル空間に真偽不明の情報が氾濫する一方、地域に根差した正確な情報は、若年層に届けるのが難しくなっています。自治体では個別にSNSの窓口を開設したり、住民向けアプリ運営に乗り出したりしているところもありますが、利用者数が伸びなかったり、登録ユーザー以外に向けた情報発信が難しいという課題がみられます。