フジテレビ系列局のNST新潟総合テレビ、約11億円の所得隠しの指摘 裏金や接待金に利用
2025.6.3
フジテレビ系列の「NST新潟総合テレビ」(新潟市中央区)が、関東信越国税局から2024年3月期までの6年間で、計約11億円の所得隠しを指摘されていたことが関係者の話でわかりました。同国税局は、NSTが実際にはCMを作っていないにもかかわらず、CM制作費として架空の経費を計上するなどしていたと認定し、重加算税を含め法人税計約4億円を追徴課税したとみられます。
民放テレビ局がCM制作を巡って国税当局から不正を指摘されるのは極めて異例です。NSTは、架空の経費計上で捻出した「裏金」を複数の広告会社側への接待などに充てていたといい、不適切な経理が常態化していた可能性があります。
同国税局が調査したところ、実際にはスポンサーが存在せず放送予定もないCMの制作費を装ったり、スポンサーがいるCMでも外注費を水増ししたりしていたことが判明しました。同国税局は、こうした架空や水増しの外注費の計上で所得を圧縮していたと判断し、仮装・隠蔽を伴う悪質な所得隠しにあたるとして重加算税を課したとみられます。
NSTは、架空の外注費や水増しした分を制作会社からバックさせた上で、広告会社側への接待費などに充てる裏金として使っていたということです。テレビ局にとって広告会社はスポンサー獲得には欠かせない存在で、NSTは営業活動の一環として接待を重ねることで、確実にCM収入を得る目的があったとみられます。
NSTは1968年3月に設立され、同年12月に放送を開始しました。フジテレビの親会社「フジ・メディア・ホールディングス」が筆頭株主で、3分の1超の株式を保有しています。民間の信用調査会社によると、2024年3月期の売り上げは67億4930万円です。