博報堂DYグループ、店頭系データによるトレードマーケティング分析ソリューションを提供開始
博報堂をはじめとするグループ9社横断の戦略組織「ショッパーマーケティング・イニシアティブ」は、購買データ等店頭系データを統合的に分析し、小売店における消費財メーカーの売上成長をめざすトレードマーケティング分析ソリューション「配荷方程式™」を開発し、提供を開始しました。
消費財メーカーをとりまく環境は、新型コロナウイルスによる生活様式の変容、原材料費の高騰、円安といった想定外の収益変動によって不透明さが増し、それらの懸念からより売上に直結しやすい施策へのニーズが高まるようになりました。その結果、消費財メーカーでは生活者と接点が多い小売店における販促活動を重視する傾向が強くなり、配荷力(自社商品の小売売上高)を向上させるための販促活動の見直しが行われています。しかし配荷力を左右する要因を分析するための購買データ等店頭系データを定量化しきれていない、統合的な分析を行うことまで自社で実行できていない、といった課題が多く聞かれました。
今回開発した「配荷方程式™」は、複数の購買データ等店頭系データを活用し、統合的に分析をおこないます。配荷力を左右する、“販売店率”、“棚割におけるカテゴリー内の優位性”、“店頭における棚割実現率(棚割が実際に各店舗においての実現度合い)” 、“価格優位性”といった要因について、改善箇所を抽出し、配荷力の向上をめざします。
<配荷方程式™>
店頭接点に強みを持つ博報堂グループのセレブリックスのラウンダーが小売店の店頭データを収集し、博報堂のデータサイエンティストが、収集した店頭データからPOSデータまでをひとつなぎとした統合的なデータについて機械学習などを用いて高度な分析をおこないます。その結果をもとに対象商品の売場起点の課題や、小売店の定番棚において自社ブランドが売上に与える影響度合いはどの領域の指標が高いのかを算出し、改善箇所を抽出します。また改善によりどの程度の売上向上が見込めるのかシミュレーションが可能となります。これらの分析結果にもとづいて博報堂プロダクツが最適な店頭設計を行います。
提供開始に先駆けて、大手ドラッグストアチェーンに対して大手トイレタリーメーカーと共同で実施したヘアケアカテゴリーにおける「配荷方程式™」の実証実験では、本分析を通じて、消費財メーカーのカテゴリー及び自社ブランドの配荷力の向上につながる様々な示唆を得ることができました。
● 売上寄与率のうち、自社ブランドにおいては棚割実現率が全体の42%を占めており、自社ブランドにとって一番重要なファクターであることが分かった。(下図参照)
● 棚割の陳列位置がずれている店舗は、棚割通りに陳列している店舗と比較して、約2割も売上が低い水準に留まっていた。
● 販促資材の中でも“香りテスター”設置店の売上が高い傾向にあった。しかしながら、当該ブランドの“香りテスター”の設置率は31%で、競合ブランドと比べて低い状況であった。
● 価格販促において、詰め替えパッケージの通常サイズと2倍サイズ、それぞれの価格販促実施時の効果をみたところ、2倍サイズだと値下げ率以上に販売数量が伸び価格弾力性がプラスとなったが、通常サイズについては値下げ率以上に販売数量が伸びていないことが分かった。これらの結果からターゲット層によって価格感度が異なるのではないかという仮説を立てられた。
このようないくつかの示唆から、消費財メーカーとしてとるべき優先的な店頭改善アクションを導くことにつながりました。今後も、製販一体で配荷力向上をめざした継続的なソリューションを提供していく予定です。
ショッパーマーケティング・イニシアティブ