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電通デジタル、Cookieフリーの新計測基盤「X-Stack Connect」を本格提供開始

電通デジタルは、Cookieに依存しない新しい計測基盤である「X-Stack Connect(クロススタック・コネクト)」を開発し、本格提供を開始しました。

従来よりデジタルマーケティングの計測を支えてきたCookieは、技術的には個々のユーザーの許諾を取得することなく使用できてしまう側面があることから、昨今、世界的なプライバシー保護の潮流に合わせ利用に制限が加えられるようになっています。具体的にはApple社からITP(Intelligent Tracking Prevention)によるCookie関連の利用規制が施行されているほか、PCM(Private Click Measurement)によるクロスサイトトラッキングの防止が宣言されています。またGoogle 社からも、Google Chromeにおける3rdパーティCookieの規制を発表するなど、ブラウザCookieに依存した計測は今後ますます難しくなっていきます。

こうした背景から、Cookieに依存しない”Cookieフリー時代”に向け、ユーザーのプライバシーを保護しながら、正しいユーザーのウェブサイト上の行動計測とそれに基づくマーケティング施策の最適化維持を両立する新しい計測基盤「X-Stack Connect」を開発しました。
電通デジタルでは、2018年10月より予測LTV(pLTV:predicted Life Time Value)を指標に事業KPIを予測するモデルを作り、デジタル広告運用に活用するソリューション「X-Stack」※1を提供していますが、本計測基盤は、予測スコアを算出し各広告プラットフォームに接続する同ソリューションの機能を、Cookieフリーにあわせて大幅に強化・拡充したものです。

「X-Stack Connect」の概要
電通デジタル

プライバシー保護と計測環境の維持を高いレベルで両立させるため、「X-Stack Connect」は下記4点の課題をクリアする形で開発されています。

「X-Stack Connect」の特長
電通デジタル

計測環境としての持続可能性

現在行われているブラウザCookieの利用制限においては、3rdパーティCookieだけではなく1stパーティCookieも含めて制限の対象となっています。つまり、1stパーティCookieを利用していたとしても、今後も計測が維持できるとは言い切れません。実際にブラウザCookieに依存した実装の場合、1stパーティCookieを利用しても計測の効率改善が見られなかったことが検証の結果確認されています。
こうした状況を踏まえて、「X-Stack Connect」ではサーバーサイドのアクセスログとフォームの入力情報の両方を使った計測に対応しています。これにより、従来のブラウザCookieに依存しない持続可能性の高いCookieフリーな計測基盤を実現しました。

汎用性の高い実装方式

従来の計測基盤では、広告プラットフォーム側で用意されているAPIなどの窓口に合わせて実装する逆算型のアプローチが主流のため、各プラットフォーム窓口に合わせた個々の計測基盤を作る必要があり、多重コストが発生する課題がありました。
「X-Stack Connect」では、広告プラットフォームを横断して利用可能な接続キーとなる情報を収集する汎用的な基盤を構築し、後からプラットフォームごとに適切に整形して送信するアプローチを採用することで、同一基盤で複数のプラットフォームの対応が可能です。これにより、ユーザー許諾の管理や、日本語表記情報のプラットフォームごとの要求仕様への変換などを一元化することができます。
電通デジタルでは現在、Google 社のOffline Conversion Import、フォーム入力情報での計測に対応したenhanced conversions(API経由での実装にも対応)、サーバーアクセスログでの計測に対応したServer-Side Tagging for Google Adsと、Facebook社のConversion API、Offline Conversion APIといった窓口に対応実績があり、今後他プラットフォームにおいても対応予定です。

導入ハードルの低減

1stパーティデータの収集基盤としては、従来CDP(カスタマーデータプラットフォーム)が利用されるケースが多くありましたが、多機能・多目的であることから高コストで、導入のための工数的なハードルも高いという課題がありました。
「X-Stack Connect」では、Google 社の提供するタグ管理ツールであるGoogle Tag Managerをサイト上に設置することで、そこから得た情報をクラウド環境側で処理し、サーバーのアクセスログとフォーム入力情報を取得する方式を採用しており、実装が簡単です。またコストを抑えるため、標準的な実装では各広告プラットフォームの窓口に必要な情報のみを取得する機能ですが、計測の基盤はGoogle 社の次世代計測ツールであるGoogle アナリティクス 4を、サーバーサイドのGoogle Tag Manager上で実装する形で利用しており、サイトアクセス計測ツールとしての汎用性と、将来的なニーズ拡大に応じた拡張性も兼ね備えています。

プライバシー保護への配慮

電通デジタルでは、計測基盤は単なる技術的な回避策としてではなく、同時にユーザーの許諾を適切に取得しプライバシーを保護することを目的としています。こうした考えに基づき、「X-Stack Connect」では技術的なサポートだけではなく許諾取得のためのコンサルティングや、同意取得を行うためのツールCMP(コンセント・マネジメント・プラットフォーム)との接続までを含めた一気通貫のサポートが提供可能です。また、広告主企業の取得した個人情報を扱うことから、「X-Stack Connect」の基盤を広告主企業が保有するクラウド環境下に構築することを原則としているため、よりセキュアにデータを利活用することができます。

対応実績

Google 社
Server-Side Tagging for Google Adsを4件、enhanced conversions(API経由での実装)を2件実装しています。先行事例での実績として、前者のサーバーアクセスログ単体の場合で平均3%、従来のWebコンバージョンタグに比べ捕捉できるコンバージョン数が改善する結果が出ています。

Facebook社
Conversion APIの実装により、従来のCookieベースのピクセルコンバージョンタグと置き換え、同時期での効率差の比較検証を4件実施しました。サーバーアクセスログ単体の場合で平均15%、フォーム入力情報もあわせて実装することで平均29%の改善が見られるという結果になっています。

以上より、サーバーアクセスログとフォーム入力情報を正しく収集し、適切に各広告プラットフォームに送ることで、将来的なCookie規制のみならず、既に実施されている現在のCookie利用制限に対するカバー施策として機能することが実証されています。

「X-Stack Connect」基盤の拡張性

Cookieフリーへの対応は、コンバージョン計測に留まるものではありません。例えば各広告プラットフォームが提供する、ユーザーのプライバシー保護に配慮した次世代型レポーティング基盤のData Clean Room※2において、広告主企業が自社のユーザー情報を掛け合わせた分析を行いたい場合、従来Cookieベースで計測を行うことが主流でしたが、現在この計測もCookie利用制限の影響で維持できなくなっています。「X-Stack Connect」は、こうしたData Clean Roomとの接続基盤としても利用可能です。


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