アベノミクスとマスコミ各社の時価総額の関連性について
歴代最長政権となった第二次安倍政権。安倍首相の巧みなメディア戦術は、様々なところで話題に上がっていました。
そこで今回は、良くも悪くもマスコミが注目をされた期間でのマスコミ関連各社の株価の変化を比較したいと思います。株価が上がっているor下がっているから政権との繋がりが云々という趣旨ではなく、この期間で市場の評価の変化を観察したいと思います。
対象期間としては、就任時の2012年12月26日から、辞任発表の2020年8月28日までのマスコミ関連各社の株価(時価総額)の変化を比較してみます。
マイナス評価はフジテレビのみ
2012年12月26日の株価と2020年8月28日の株価を比較した増減率です。
終盤戦はコロナの影響もあり、株価は右肩上がりから一変して乱高下した部分もありますが、今回は開始時と辞任発表時点を単純比較しています。
この比較でわかることは、アベノミクス期間で唯一市場評価を下落をさせたのは「フジテレビ」ということです。
アベノミクス開始時は、リーマンショックや東日本大震災の影響が尾を引き、どの株価も低い状態であったため、多くの企業がアベノミクス期間に上昇をさせました。
参考までに、日経平均株価もグラフに掲載しておりますが、日経平均株価の伸びからも多くの企業が株価を上昇させていたことがわかります。
このような比較的好景気であった期間にも関わらず、フジテレビは評価を下落させたことは非常に厳しい市場の判断と言えます。
平均と比べるとマスコミ各社は下降傾向とも
続いて、日経平均と比較した優位差のグラフです。日経平均は銘柄の入れ替えなどもありますが、あくまで平均指標の一つとしてこちらと対比を致しました。
フジテレビが上述したように厳しいわけですが、電通や日テレなど多くの会社が日経平均と比べると市場評価としては伸び悩んでいることがわかります。
一方で、平均よりも伸びている銘柄は、この中では比較的規模が小さいテレビ東京と博報堂の2社のみとなりました。規模の関係から旧態依然としたものからのシフトがしやすいことなども市場評価に繋がったのかもしれません。
【結論】アベノミクスでマスコミの市場評価は大きくは上がっていない
安倍政権とマスコミの関係性を巡っては多くの部分で議論はされていますが、単純に株価という市場からの評価で言えば、あまり急成長はしていないと言えます。
むしろ、安倍政権前から続くネットメディアの成長による、マスメディアの衰退がほぼ反映される形になっており、もしかしたら多少その衰退速度がアベノミクスの支えによって留まっていたとも言えるかもしれません。
新型コロナによるニューノーマルへの変化に加え、長期政権終了からの新政権への移行という、また大きな変化がやってこようとしています。
株価だけですべてを語ることはできませんが、マスメディアの興亡を含め、広告業界にどのような変化が訪れるか引き続きウオッチしていきたいと思います。