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新型コロナウイルスに関連でヨーロッパと米国ニュースパブリッシャーのサイト訪問者・サブスクリプションが急増 〜PIANO調べ〜

2020.3.27

Piano

PIANOが保有する、数百に及ぶ主要ニュースパブリッシャー企業のグローバルデータより、ニュースの需要が急増していることが明らかになりました。新型コロナウイルスによる世界の危機で、メディア消費とデジタルサブスクリプションの両方が大幅に増加しているのです。


これを受け、PIANO CEOのトレバー・カウフマンは次のようにコメントしています。「COVID-19のパンデミックによって引き起こされた世界的な危機に直面する中、最新のニュースや専門家による調査結果、そして娯楽や気晴らしなどを求め、多くの人々がペイウォールを越えた有料コンテンツへアクセスしています。多くの国が閉鎖を余儀なくされ、社会的距離を置く為に、今後数週間を自宅で過ごす人も多く存在します。PIANOのデータは、人々がより多くのコンテンツを消費し、サブスクする傾向があることを示しています。例えばヨーロッパでは、この1週間で契約数が2020年の週間平均契約数より84.5%も増加しました。」

しかしこの突出した傾向はグローバルで均一に見られるものではありません。サブスクリプションの急増はヨーロッパで最も散見され、特にペイウォールを保持するヨーロッパの新聞社やデジタルネイティブの間で顕著なもので、ヨーロッパの新聞社では、サブスクリプション数は先週だけで102%増加しました。 米国では、多くのニュースパブリッシャーが公衆衛生保護の目的でCOVID-19の報道関連をペイウォールの外、つまり無料ニュースとして配信していますが、それでもデジタルサブスクリプションはこの1週間で、14.8%と比較的穏やかではあるものの増加傾向にあります。

この状況は米国では始まったばかりなので、今後更に増加の一途をたどるのではないかと、多くの人が予想しています。例えば、日曜日は通常であれば、週の中で最もサブスクリプション数が少ない曜日であるにも関わらず、先週の日曜日は平均より75%増しを記録し、平日のサブスクリプション数を上回りました。米国の多くのパブリッシャーが、 (例えコンテンツに自由にアクセスできる状態であっても) 彼らの報道を支持するよう読者に求めるメッセージを掲載することで、この数字は増え続けるのではないでしょうか。

ジャーナリズムの価値を読者に再認識させたり、報道のサポートを得るための寄付を大々的に求めるというアプローチは、無料アクセスと収益のバランスを取る1つの策ですし、有料にする代わりに会員登録へ促すという方法もあります。

また、命の危機に関わるニュースに関心を寄せるのは当然のことですが、もう一つそれと同等に、もしくはそれ以上に人々が評価し・関心を寄せる報道領域、それは「経済」です。多くのパブリッシャーは、救命情報のオープンアクセスを強いられていますが、ビジネスコンテンツのロックに関する制約は、それに比べ少ないのが現状であり、感染拡大により市場に大混乱が生じたことで、投資に関する記事のサブスクリプション数が2倍以上になったケースもあります。

更に、このサブスクリプションの増加と並行して増えているのがページビュー(以下、PV)です。先週のPIANOでは、週間PVは平均を50.3%上回りました。このPV増加の多くは、サイト訪問者1人あたりのコンテンツ消費量の増加によるもので、 ユニークユーザー数は34%増に留まっています。ヨーロッパの新聞社では先週、PVは94.6%増加しています。(再度強調させていただきますが、この増加は特定のコンテンツカテゴリと地域に集中しているものです。)

しかしながらこうしたPV増加は、残念なことにニュースメディアにとってあまり価値のあるものではありません。多くの広告主は、自身の広告が致命的なウイルスと隣り合わせになっているこの状況に慎重にならざるを得ず、業界全体が広告費を大幅に削減しました。クルーズ船やホテル、航空会社、イベント会社、レストラン、バー、その他の多くの企業は、クリエイティブがどれほどすばらしいものであっても、この状況下において広告キャンペーンでビジネスを盛り上げることは検討すらしないでしょう。

つまり、サイト運営を維持するためには、①前例のない危機を乗り切るために必要な情報へのオープンアクセスを提供すること、②そのニュースを報道するためのコストをカバーできるだけの収益獲得、この双方でバランスを取ることが極めて重要、且つ急務であると言えます。

そしてニュースサイト利用の急増という事実を通して、「世界中の人々が健康・安全に生活するために必要な信頼性のある事実の提供」という役割において、ニュース機関がどれだけ重要な位置付けであるかということを読者たちが証明しているのです。

※上記の数値は2020年1月1日から、2020年3月15日までのオーディエンストラフィックと、サブスクリプション獲得データを分析したものです。また、トラフィック分析のWebサイト数は510、サブスクリプション分析のWebサイト数は295です。


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