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電通・博報堂・サイバーエージェントのコロナショック前後の時価総額推移 〜電通は半減、サイバーエージェントは博報堂を逆転〜

新型コロナウイルスの具体的な終息時期は未だに見通しがただずに世界経済に大きな影響を与えています。


特に景気に影響を受けやすい広告業界も煽りを受けており、今回は電通・博報堂・サイバーエージェントの大手広告会社3社の時価総額の推移からその影響を考察したいと思います。

2月以降の時価総額推移

コロナ 時価総額 電通 博報堂 サイバーエージェント

電通は時価総額がほぼ半額に

電通は昨年の赤字決算以降やや値を下げる中で、新型コロナショックも受ける形となりました。

新型コロナがまだ国内では下火であった2/7時点では1兆800億円ほどあった時価総額が、3/19時点では5,550億円ほどに約半減してしまいました。

昨年の赤字決算の要因となった中国市場での苦戦がさらに濃厚になり、さらには世界中に新型コロナが広まっていることなどから、国内外すべての事業の先行きが不透明になったことや、今年最大の収益源とも言える東京オリンピックの開催についても未だに議論が繰り返されていることなどが、大きな下げの要因になったと考えられます。

サイバーエージェントが博報堂の時価総額を逆転

博報堂も新型コロナショック直前の2/6時点では、6,320億円ほどあった時価総額ですが、3/19時点では3,650億円と、半減までは行かないですが大きく値を下げています。理由は電通の下げ理由とほぼ同じで、世界中での先行きの不透明さや、電通ほどではないですが、オリンピック開催有無等が影響していると考えられます。

その一方で、ネット系広告代理店最大手であり、今や広告代理店に留まらない事業ポートフォリオ(ゲーム、動画配信、メディア、マッチング等)を有するサイバーエージェントは健闘をしています。コロナショック前は5,630億円ほどであり、3/19時点では4,290億円と、大きく減ってはいますが、電通・博報堂と比べると影響が軽微であることがわかります。同じ広告代理業であっても影響を受けやすいマス系よりもネット系が強いことや、事業ポートフォリオも広告代理業以外もしっかりと成長していることが好材料となっていると考えられます。

また、コロナショックの中、世間ではあまり注目されていなかったのですが、ひっそり(?)とサイバーエージェントの時価総額が博報堂の時価総額を上回りました。2/25時点でサイバーエージェントの時価総額が博報堂を上回り、未だにサイバーエージェントが上回り続けていおり、金額差も徐々に大きくなっています(現在700-1,000億円ほど)。

コロナショックは一時的な変化ではなく、ゲーム・チェンジの合図となるか

サイバーエージェントが健闘する中、電通・博報堂が大きく苦戦し、そしてサイバーエージェントが時価総額では広告業界第2位に躍り出ました。

この変化はコロナショックが終息すれば元に戻る可能性もありますが、今回の騒動を通じて「リモートワーク」「動画配信」「リアルイベントリスク」などなど新たな変化が起こり、そして加速したとも考えられます。

2019年はテレビ広告市場をネット広告市場が上回ったことが話題となりましたが、もしかするとコロナショックを契機に、広告業界のプレイヤーの序列にも大きな変化が訪れるのかもしれません。




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