2019年のデジタル広告トレンドを読まれた記事から振り返る
2019年もそろそろ終了です。動きが早いデジタル広告の世界では、多くのことが巻き起こり、そして過ぎ去って行きました。
今回は、そんな2019年をRTBSQUAREの記事でよく読まれたものから今年のトレンドやビッグニュースを振り返ります。2018年に続き2回目の企画です!
1月:電通とドコモのOOHの新会社、TikTokが本格的に国内広告市場に
1月はそのあとの2019年のトレンドを占うように、DOOH分野とスマホ動画広告のニュースがよく読まれました。
2月:DACと博報堂DYデジタルが統合、Googleとサイバーエージェントが渋谷に新拠点
もっとも読まれたのはDACと博報堂DYデジタルの統合や、博報堂DYHDがDACを完全子会社にしたニュースでした。2018年から動き出した博報堂グループのデジタル事業の再編が完了した形です。
また2019年のデジタルマーケティングを象徴した街は渋谷といえますが、この2月にGoogleが六本木から渋谷ストリームへの移転、サイバーエージェントがAbema Towersと渋谷スクランブルスクエアへの順次移転を発表しました。
3月:アフィリエイトの取締強化、ソウルドアウトが東証一部へ
大きなニュースはやや少なかった3月ですが、日本アフィリエイト協議会が虚偽や捏造記事によるアフィリエイト広告の取締りを強化するニュースが話題となりました。アドフラウドやフェイクニュースへの世間の目がさらに厳しくなるなか自浄能力がどこまで高まるのか注目されました。またソウルドアウトが東証一部に変更されたニュースも話題となりました。
4月:ヤフー株式会社、持株会社体制に移行しZホールディングス株式会社へ社名変更へ
4月はヤフーの月となりました。ヤフー株式会社が、持株会社体制に移行しZホールディングス株式会社となることの発表や、YDNのガイドラインを強化し5,000件以上の広告を停止させるなど大きな動きが多かったからです。またこのZホールディングスは、2019年においてデジタルマーケティング界隈だけでなく、日本のビジネス界全体の台風の目となっていきました。
http://rtbsquare.ciao.jp/?p=22800
5月:ヤフー宮坂氏の退任、テレ朝・電通・サイバーなどの動画連合の誕生
4月に続き最も読まれたのはヤフーのニュースでした。2012年から「爆速」をキーワードにヤフーを牽引してきた宮坂氏の退任のニュースです。
またSupershipホールディングス・テレビ朝日・サイバーエージェント・電通・博報堂DYMPによる動画事業の合弁会社のニュースも動画ブームの中、大きな注目を集めました。この合弁会社の動きは今後も注目です。
6月:LINEがアドネットワークをリリース。AmazonがSizmekを買収
ヤフーに変わって6月に最も読まれたのはLINEのニュースでした。LINEのユーザーデータを活用したアドネットワーク事業「LINE Ads Platform for Publishers」のリリースです。
また2018年も盛んに行われた米国のアドテク事業者の再編の最終章とも言える、老舗Sizmekの基幹事業がAmazonに売却されたニュースも話題になりました。またヤフーもヤフースコアのニュースで話題になり、引き続き存在感がありました。
7月:求められる業界の健全化
国内のインターネット広告市場は2兆円に迫り、間もなくテレビ広告市場も上回り最大のものとなろうとしています。そのため世間に及ぼす影響も大きくなり、アドフラウド問題への目も厳しくなる中、サイバーエージェントら9社が共同でフェイク広告やコンプライアンス違反広告を根絶するために連携して対応策を検討する発表が注目されました。その後、ステマ問題もアナ雪2で話題となりましたが、この分野は2020年も世間の目が向けられると思います。
8月:国内大手広告代理店の業績悪化
電通、博報堂DYHD、オプトHD、アドウェイズなどが2019年上半期の決算が予想よりも下回るものであったり、大幅赤字であったなどの業績悪化のニュースが話題となりました。前向きなニュースも多いですが、足元の数字は悪くなっていることが露呈した月でありました。また色々と世間を騒がせることがあるFC2が広告表示を撤廃するという大胆な方針変換のニュースも話題に。
9月:動き始めるZホールディングス
大きなニュースが少なかった9月ですが、4月に大きな話題になったZホールディングスの人事やコーポレート・ロゴの発表など具体的な動きがわかるようになった月でした。
10月:TaboolaがOutbrainを買収しコンテンツレコメンドサービスが再編
記事の下に類似の記事や記事広告を表示するコンテンツレコメンドサービスは数年前から定着してきていますがその2大プレイヤーの統合が話題になりました。TaboolaがOutbrainを買収する形となりました。また1つ老舗のアドテク会社が統廃合されました。
11月:存在感を示すZホールディングスとヤフー
世間ではZホールディングスによるZOZOの買収が話題になった11月。デジタルマーケティング業界でもヤフーは、広告と販促を融合させる「Yahoo!セールスプロモーション」や、「Yahoo!プロモーション広告(スポンサードサーチ、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)」の名称を、2020年度にかけて「Yahoo!広告」に統一させていくなど、多くの動きをみせて注目を集めました。
12月:新しい電通、新しい動画の世界
電通は昨年グローバルでの経営体制を強化を目的に純粋持株会社体制への移行を発表してましたが、その中での新しい電通(社名は同じですがHDの子会社となる)の人事体制を発表しました。またサイバーエージェントが動画広告市場のレポートを発表し、その大きさが話題になる中で、TBSがNewspicksと提携しスマホ動画等を強化するというタイムリーな動きもありました。またヤフーとLINEの統合も世間で大きな話題になりました。
2019年を振り返っての寸評
媒体でいえばスマホ動画とDOOHや店舗が今年のトレンドだったように思えます。街でいえば渋谷であったと思います。会社で言えば、ヤフーの親会社となったZホールディングスが台風の目のように他の業界も巻き込んで話題を作っていました。
一方で、業績悪化、老舗アドテク企業の統廃合、アドフラウドの取締り強化などのニュースも話題となり、前向きなトレンドだけではない印象も受けました。いよいよ2兆円も間近となりテレビを抜いて最大広告市場となろうとしているデジタルマーケティング業界ですが、比例して世間の目も厳しくなり、プレイヤーの巨大化も進んでいます。オリンピックイヤーで大きなお金も動いていく2020年は、今年のトレンドを踏まえて、どのように発達&精錬していくのか楽しみです。