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サイバーエージェント、電通の時価総額を一時逆転 〜日本一の広告会社の行方〜

サイバーエージェント 電通

サイバーエージェントの時価総額が2020年4月4日に、電通グループの時価総額を一時ながら逆転する事象が起こりました。(サイバーエージェントが約5134億、電通グループが約5127億円)。4月4日の終値は、再び電通の株価がサイバーエージェントを追い戻し、逆転は一時的なものとなりました。

既にサイバーエージェントは博報堂超え

既報の通り新型コロナの影響やオリンピック延期の影響をダイレクトで受けた電通グループ、そして博報堂は大きく株価をさげており、一方で事業ポートフォリオとしてそれらの影響を受けづらかったサイバーエージェントの下げは小さく、3月にはサイバーエージェントが博報堂の時価総額を上回りました。この順位は今も変わっておりません。
コロナ前後の時価総額変化

広告事業の売上高では電通グループが圧倒

長年の間、日本一の広告会社は電通でした。しかし、この時価総額の逆転で日本一の広告会社はサイバーエージェントと言い切れるのでしょうか。

まずは両社の全社ではなく広告業のみの売上高のを比較すると、まだまだ圧倒的に電通グループが大きいことがわかります。特に電通グループは今となっては国内事業よりも海外事業(電通イージスネットワーク)の方が売上高としては大きいこともわかります。この海外事業の大きさも今回のコロナウイルスが海外の方が今の所影響が大きいことで、株価にも響いていると考えられます。
広告業売上高比較
※サイバーエージェントは国内/海外の区分なし,単位は億。

サイバーエージェントはそもそも広告会社?

「サイバーエージェントといえばネット広告代理店!」と思っている方はアップデートが必要かもしれません。サイバーエージェントと電通グループのそれぞれの売上高構成比です。

電通グループ売上高構成比

サイバーエージェント売上高構成比
※どちらも単位は億

電通はほぼ広告事業という「まさに世界の広告会社!」という構成図ですが、サイバーエージェントは広告事業の売上高はすでに全体半分ほどになっていることがわかります。AmebaやAbemaTVなどのメディア事業や、グランブルーファンタジーなどを代表するゲーム事業が大きいことがわかります。

さらにサイバーエージェントの事業を営業利益別で比較すると既に利益率が高いゲーム事業が広告事業を50億円以上もリードしていることがわかります。
サイバーエージェント事業利益別
※単位は億

このような数字から見るとサイバーエージェントは既に「ネット広告代理店」という顔よりも「総合デジタル事業会社」や「コンテンツ事業社」のような顔の方が強くなっていると言えると思います。

まだまだ日本一の広告会社は電通だが、強いのはサイバーエージェントか

売上高等から見ると純粋な広告会社の規模としては時価総額で逆転をされてもまだまだ電通グループが大きいことがわかります。

しかし、電通グループの不調は逆に「広告事業だけが大きすぎた」というポートフォリオのバランスの悪さとも言えます。

一方でサイバーエージェントは、新型コロナのような不測の事態が起こっても、ゲームやメディアもきちんと成長させており「事業ポートフォリオのバランスが良い」ため、利益への影響を抑え込めることができ、投資家からの評価も安定していると言えます。

そのため、日本一の広告会社の座はまだまだ電通グループかもしれませんが、2020年代に存在感が強いのはサイバーエージェントになるかもしれません。




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