【まとめ】広告会社のコロナ渦中決算(2020.4-6) 〜スマホ・マンガ・ゲームは強し〜
新型コロナの影響が最も直撃した2020年4-6月期の決算。そんな時期の決算が、広告会社各社出揃いました。そこで今回は主要国内広告会社の決算数字をざっと眺め、悲喜交交を考察したいと思います。
売上高:大手が苦戦の一方で
まずは売上高の前年同期比増減率です。電通HDとセプテーニHDはIFRSでの数字になります。
絶対額ですと金額の差が大きく、データを比較しづらいため、今回は前年同期比増減率で各社を比較したいと思います。
グラフを見ればすぐにわかりますが、電通と博報堂という大手2社が非常に数値を落として苦戦している様子がわかります。
一方で、デジタルにつよいネット広告会社の影響は小さい、もしくは増加していることがわかります。
ユナイテッドの数字が良いのは投資事業の影響もありますが、CARTAやアドウェイズが好調です。
キーワードは「スマホ・マンガ・ゲーム」です。コロナ渦中でマス広告は大きく下落しましたが、一方でスマホ向けのアドネットワーク広告、特に商材がマンガアプリやゲームアプリは好調で、その領域に強い広告会社の数字がキレイに出た形となりました。
営業利益:販管費で調整するも苦戦する大手
次は営業利益です。営業利益はマイナス決算もあり、今度は比率ですと比較しづらいため、絶対額で比較をします。
概ねは売上高が下がっているところは営業利益も下がっており、減収減益になっているのが大手の動向です。各社販管費の調整は行っているものの売上高の下落に追いついていない状態です。一方でセプテーニHDのように減収ながらも販管費の調整などで、利益は増益となっているケースもあります。
そしてやはりここでも「スマホ・マンガ・ゲーム」の広告に強く、売上高も増収となった会社が営業利益も増益となる増収増益の決算になっています。ここでもユナイテッドは投資事業が好調だったので数字は良いものとなっています。
まとめ:コロナで加速するネット広告予算
7月、8月もコロナの感染者は収束しておらず、引き続きコロナ渦中のトレンドは続くと考えられます。
資生堂がネット広告に予算を大きくシフトさせるという発表がSNSでも話題になりましたが、新型コロナはこれまでもあったネット広告シフトの流れを加速させているだけとも言えます。
新型コロナ前からコツコツとスマホ広告領域の知見を貯めていた広告会社や投資やデジタルメディア事業などポートフォリオを広げていた広告会社の数字に現れたと言えます。
電通・博報堂は来年のオリンピックの開催も危ぶまれる中、どのような次の一手を打ってくるか注目です。