マーケティング担当者の新必修「アプリリターゲティング」を切り拓くドイツ発DSP Remerge(リマージ)
スマートフォンアプリ市場にはまだまだ伸び代がある。そして、ユーザーのリテンション施策の重要性は刻々と増している。インストール後から30日以内に約90%のユーザーが離脱し、7日以内にアプリを起動しないユーザーのうち60%以上が休眠ユーザーへと移行する(※1)。獲得したユーザーをいかに継続的にアクティベートさせるか。その最適な解の1つとも言える「アプリリターゲティング」を日本で展開しているのがドイツ発のDSP Remerge(リマージ)だ。
Webではできない、アプリに特化したリターゲティング手法の特徴
Cookieを使用した従来のブラウザリターゲティングに限界が見え始めている。サードパーティCookieを標準設定でブロックするブラウザも出てきており、そもそもターゲット個人を高い精度で特定して広告配信ができるわけではない。
それに比べ、Remergeが提供するソリューションは、アプリをダウンロードしたユーザーに対してのみ広告配信を行う。Cookieシンクではない「ポストバック」の仕組みで、固有のデバイスIDに基づいてユーザー本人に正確にターゲティング広告を配信することができるのが最大の特徴だ。ポストバックとは、この場合、特定のアプリのページからサーバーにデータ・固有のデバイスIDを送信し、送信元ページと同じページにデータの内容を反映させてターゲティング広告として送り返す。
アプリのリテンション施策として代表的なものが「プッシュ通知」だが、アプリリターゲティングは、このプッシュ通知と連携することでさらに高い効果を発揮することができる。
ディープリンク広告でCVR +99%を実現した「LINE MUSIC」
音楽の定額配信アプリ「LINE MUSIC」は、有料プラン非加入者に対し、プラン加入者を増やすことを目的にした施策で、Remergeのアプリリターゲティングを採用した。
「サインアップしたユーザーは3ヶ月無料でストリーミングすることができる。」
というメッセージのクリエイティブを発信し、ディープリンクを使用しない場合の他のリターゲティング広告と比較し、iOSでは+99%、Androidでは+63%のコンバージョン率の上昇が確認できた。クリエティブも、静止画バナー広告、ネイティブ広告、動画広告 、ダイナミック広告まで多様な形式に対応可能だ。
その他にも、Remergeを活用した施策で、ファンションECアプリ「GILT」ではROASが+566%上昇。旅行予約アプリ「GoEuro」(現Omio)では予約数が+25%上昇したという成果が報告されている。「ゲーム・エンターテインメント」「EC」「トラベル」といった領域を中心に全世界に顧客が存在する。
日本では発展途上「ポストバック」でのファーストパーティー配信 とアプリへのマーケティング投資
「日本のWeb広告業界ではCookieシンクをベースとしたリターゲティングが一般的な手法として浸透しています。一方で、アプリ広告業界においてはまだ”リターゲティング”というものが浸透しておらず、マーケティング手法としても広告市場としても、成長の余地がある分野です。」
Remerge 山根氏はアプリリターゲティングの日本での可能性を力強く語る。Remergeは2014年にドイツ ベルリンでリリースされ、2017年から日本で展開している。数多あるアドテク関連のプロダクトの中でも、日本においてアプリリターゲティングに注力しているのは、Remergeを除けばごく少数。
「印象としまして、日本においては特定の業界を除いては、まだまだWebの売上比率が多く、デジタルマーケティングの中で、アプリ”も”やっているという企業が多いです。 ですので、Webマーケティング = Webメイン になっている企業が多いのが現状です。 しかし、実際の日本のスマホユーザーは利用時間のうち85%(※2)をアプリに費やしており、日本のアプリ市場に関しても、世界と同様に順調に成長しています。 過去のインターネット業界の流れから、Webからアプリにマーケティング予算が移行するタイミングが近い将来確実に来ると考えています。」
海外のデジタルマーケの売上規模(※3)は、電通によると、2019年の成長率は+3.8%、2020年は+4.3%と予測。2019年で10年連続の成長となり、総広告費は過去最高を更新し6,250億米ドルになる見込み。
そして、アプリの世界的な動きに関しては、2018年全世界アプリダウンロード数は1940億件(※4)を突破し、2016年から比べて2018年は35%上昇している。
世界的な潮流から見るとアプリリターゲティングという手法やアプリ市場そのもののポテンシャルは日本においてもまだ十分にある。
日本での展開に注力する一方で、Remergeはベルリンと東京の他に、サンフランシスコ、ニューヨーク、シンガポール、ソウルにビジネス拠点を持っている。サーバーの拠点も多く、日本国内から海外に出ていくクライアントのサポートも可能だ。
実際の広告運用もRemergeが行うため、クライアントの負担を少なく、きめ細かい運用ができる。管理画面を共有して、ポストバックしたデータを元にした配信セグメントやクリエイティブのアドバイスを行いながら広告効果の最大化を図る。
既に主要SSP/メディア各ネットワーク、アトリビューションプロバイダーとの連携を実現しているRemergeだが、山根氏は既存の接続や連携を更に強化していくと意気込む。
世界的な潮流の中、アプリリターケケティングに関しても伸びていくことが予想される。
日本においてもアプリ広告手法の「必修」と言えるのかもしれない。
Remergeは11月27日(水)~28日(木)に開催されるad:tech Tokyo 2019にブースを出展する。気になる方は足を運んでみてはいかがだろうか。
※1 Statista 06/2016, incl. Google, Apple, Windows, Amazon, BlackBerry, Localytics, Chartboost, Nanigans, Adjust より
※2 2018/04/14 ニールセン、スマートフォンアプリの利用状況
※3 電通 世界の広告費成長率予測(2018~2020)より
※4 App Annie『モバイル市場年鑑 2019』より
取材: 石塚健朗
編集者/マーケティングプロデューサー。学生時代よりVCや外資系広告会社でスタートアップや大手企業の新規事業創出を支援。面白法人カヤックを経て、アトラクションプロデュースやマーケティング・PR支援を行うKIUASを創業。@Takeroishi
–データ出典ソース–
※1 Statista 06/2016, incl. Google, Apple, Windows, Amazon, BlackBerry, Localytics, Chartboost, Nanigans, Adjust
remerge様のセールス資料より
※2ニールセン、スマートフォンアプリの利用状況
https://www.netratings.co.jp/news_release/2018/04/Newsrelease20180424.html
※3 電通 世界の広告費成長率予測(2018~2020)
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/0111-009729.html
※4 App Annie『モバイル市場年鑑 2019
https://www.appannie.com/jp/insights/market-data/the-state-of-mobile-2019/