アプリリターゲティングがなぜ重要なのか?その仕組みとメリットを解説
リターゲティング広告といえば、Webマーケティングにおいて自分のサイトに一度訪問した人に対して配信する広告のこと。
Webサイトで普及したリターゲティングですが、スマートフォンが普及しアプリの利用が普通になった現在では、アプリリターゲティング広告に力を入れるマーケッターが多くなってきています。
この記事では、アプリリターゲティングの重要性とその仕組みについて説明します。
デジタルマーケッター必読!アプリリターゲティングの重要性とは?
そもそもアプリリターゲティング広告とは?
まず最初にアプリリターゲティング広告とはどういったものなのか、軽く説明します。
アプリリターゲティング広告とは、スマホアプリをインストールしたユーザーに対して、利用率やエンゲージメント(愛着)を高めることを目的として、配信する広告です。
実際には、ユーザーが他のアプリを利用している際に、自社のアプリの広告を配信して、認知を高めたり利用を促します。
アプリリターゲティング広告の重要性
なぜアプリリターゲティング広告に注目が集まっているのでしょうか?それはスマホアプリの特性によるものが大きい理由です。
まずスマホアプリで提供するサービスをユーザーに利用してもらう際に、以下の2つの壁があります。
1.ユーザーにアプリをインストールしてもらう
2.インストールしたアプリを実際に使ってもらう
特に、2つめの「インストールしたアプリを実際に使ってもらう」が難しく、そもそも使われなかったり、1回使用しただけでその後利用しないユーザーが意外と多かったりします。
1回使用しただけその後利用しないユーザーは、25%に及ぶとも言われています。
アプリをインストールしてもらっても、実際に使ってもらわなくては収益は生まれません。また、新規ユーザーの獲得にも限界がありそこにのみ広告を投下し続けても、費用がかさむ一方です(潜在層への認知度を高めたり、ブランディング目的のものもありますが、、、)。
そのために重要となってくるのが、アプリリターゲティング広告です。
インストールしたが利用していないユーザーに対して、再度利用を促します。
目的としては様々ですが、例えば、
・新規課金ユーザーの獲得
・ユーザーのLTV向上
・コミュニティの活性化(アクティブユーザーの増加)
などがあります。
広告を配信する際のポイント
アプリリターゲティングは、自社アプリ内で取得するユーザーのデータを元に配信します。
アプリリターゲティングツールが対応しているデータをなるべく多く取得することで、適切なユーザーに効果的な広告を配信することができます。
また、以下の点に注意すると、アプリリターゲティングマーケティングを成功に導くことができます。
ユーザー(顧客)セグメントを細かく切る
既存のユーザーのエンゲージメントを高めるのは難しいです。
アプリで取得したデータを元にユーザーのセグメントを細く切り、それぞれに最適な広告を配信することで、広告のパフォーマンスを上げることができます。
ユーザーのセグメント分けに利用できる情報は、属性データ(性別、年齢等)やアプリ内の閲覧ページなどが挙げられます。
また以下の「frequency(フリークエンシー)」や「recency(リーセンシー)」も重要な指標となります。
frequency(フリークエンシー)
frequency(フリークエンシー)とは、ユーザーが同じ広告に何回接触したかを測る指標です。
frequencyを高めることで、単純接触効果(心理学用語。接触回数を高めることで相手に好意を抱いてもらえるようになる減少)を得られる可能性が高くなります。
しかしその一方接触回数が多すぎると、しつこいと思われイメージを悪くする可能性があるので注意が必要です。
各セグメントに対して、適切なfrequencyを設定することが重要です。
recency(リーセンシー)
最後にアプリを利用した時から、どの程度の時間(日数)が経過しているかを測る指標です。
そのユーザーが短期的(数日)に離脱しているのか、中・長期的(数ヶ月)に離脱しているかによって、ユーザー属性が完全に異なってくるので、recencyを考慮して適切な広告を配信することも重要です。
魅力のある広告・施策内容を考える
一度離れているユーザーは簡単には戻ってきてくれません。時にはキャンペーン施策を打つことも重要です。
顧客のセグメントに応じて訴求力の強い広告を配信したり、費用を最小にするために各セグメント限定で利用できるキャンペーンのシステムを組んだりすることが重要です。
KPIを設定する
リターゲティングでKPIを追う上で、増分(Incrementality)を計測するのが重要となります。
ここ数年でリターゲティングのパフォーマンスを分析する手法としては「アトリビューションモデル」が主な手法として認知されてきました。しかし、アトリビューションモデルには欠点があり、ある広告(マーケティング施策)について実際にどれくらいの効果があったか、詳細な数値が分かりづらいという問題があります。
※アトリビューションモデルとは、ユーザーがコンバージョンに至るまでの接点を持った広告などの施策について、それぞれの貢献度を図る手法。どの広告がコンバージョンに役立っているかは分かるが、それがどれくらいのスケールで貢献してるかはわかりにくい。
そこで注目されているのが、増分(Incrementality)を計測する手法です。
増分(Incrementality)計測のメリットと方法
増分(Incrementality)を計測するメリットは、実施したキャンペーン施策のパフォーマンスの効果が数値(絶対値)でわかるということです。
投下した広告費用に対する収益が具体的な数値でわかるので、施策がどの程度成功したのかがわかりやすくなります。
増分(Incrementality)計測の手法ですが、ランダム化比較試験(RCT)が用いられます。
RCTは医療分野や経済学などで研究によく利用される手法です。ほとんど属性が同じ人々を2つのグループに分けて、片方に測定したい治療や施策を実施しそれ以外の条件を全く同じにした状態で現れる結果の差分を計測して、効果を測ります。
リターゲティングにおいて具体的には、ユーザーを`treatment group`(広告に触れるユーザー)と`controlled group`(広告に触れないグループ)に分けて、そこに現れたCV数や収益の差分を計測します。
つまり2つのグループにおいてキャンペーン施策以外の影響や行動について全く違いない中で、客観的に施策の効果のみを計測することができます。
2つの手法を理解した上で適宜使い分ける
ここまで聞くと、具体的な数値が測れる増分(Incrementalirity)計測のほうが優れているように聞こえます。
しかし増分(Incrementalirity)計測は高度な手法であり、適切に実施しかつ結果を解釈するには、専門的な統計学の理解が必要となります。また制度の高い結果を得るには、多くのデータが必要なため、ハードルが高いのが難点です。
一方アトリビューションモデルには、比較的実行しやすく説明や解釈がしやすいメリットがあります。アトリビューション測定をできるツールも最近では多くあるので、簡単に始めることができます。
両者の手法のメリット・デメリットを理解した上で、適切なKPI計測を行うことが重要です。
アプリリターゲティングの仕組みを図解
最後にアプリリターゲティング広告の配信の仕組みを、図を用いて解説します。
まずは図をご覧ください。
図をご覧に頂けると分かる通り、アプリリターゲティングの仕組みは比較的シンプルです。
まず自社アプリ内のユーザー属性・動向データを計測するためにSDK(タグのようなもの)を設定する必要があります。
設置されたSDKは、ユーザーの属性・動向データをユーザーの識別子とともにアドネットワークのサーバーに送信します。
その後アドネットワークサーバーは、同一ユーザーが別アプリを訪れた際に、ユーザーデータと配信設定を元に、適切な広告を配信します。
以上、いかがでしたでしょうか?
アプリはインストール後の利用率・エンゲージメントを高めることがとても重要で、そのためにマーケッターはアプリリターゲティングを適切に運用することが大事です。